突如現れたマフィン屋に目を向ける人などいない。
ゲリラ販売の経験があるので、無視されても声を出して営業する事は平気なんだけど、ここって移動販売アプリで申込んだ場所だよね?
ここって日替わりでキッチンカー来てるんだよね?事前宣伝もしたんだよね?
移動販売で物を売るのにはたくさんのミラクルを起こさねばならない。
人がお腹いっぱいのタイミングでお弁当を売っても売れるわけがない。
時間帯や場所、土地の性質が大事で、粘り強く認知されるために捨て日も必要である。
もちろんキッチンカーから滲み出るシズル感も。。。
私たちがやっているのはかなり高度な事だ。
突然街中でご飯でもないドリンクでもない「マフィン」を売るわけだから。
買う目的のイベントやいつもの出張マフィンとは性質が全くちがう。
なので闇雲に車に乗って移動販売をしてもだめなのだ。
そのアプリは場所を提供してくれる。
そして売上の15%を支払う。
はじめての出店は練習を兼ねるプレ出店。場所はアプリ運営の会社の駐車場。
プレ出店は営業のあれこれやルールの擦り合わせ。今後の営業アドバイスなどを担当スタッフと話す場としても設けられた。
当日は移動販売アプリの運営の方と会う事ができた。
そして口論になった。
前日の何のフォローもなく、出店が決まった時に出店ルール詳細がPDFでペラっと来ただけだ。
本当に私たち今日だよね?
と管理画面でしか確認が取れない
【本日出店】の文字だけを信じて向かった。
到着するなり担当さんとスタート時のルールだけ話して、あとは終わった頃に来ます。で営業スタート。
案の定客足が悪い。
隣の弁当屋はぼちぼち売れている。
だが、通りすがりの会社ランチ層はみな揃って同じ方向へ向かい、同じ袋をもって帰ってくる。何ならアプリ運営会社のスタッフ達も同じ袋を持って帰ってくる。
こんにちはー!
の私たちの声にうつ向き気味で軽く会釈をするだけだ。
この空虚さはなんだろう?
ゲリラ販売でのこの感じは慣れているし理解出来る。
だけど、この場所に来てくれと言われ、プレ出店をしているのにこの放置感はなんだろう?
ネット上での会社事業説明の熱と実際の事務所スタッフの温度差はわかる。
だけど、このスタッフさんたちのスルー感。
これはまさに会社が暗く忙しく、意識の共有ができていない会社の典型例だ。
蓋をあけたら大した事なかったって事が多々あるけど。まさに今それを感じている。
スタッフは疲弊し、自分達が行っている事業を忘れているのだ。
今日はどんなキッチンカーなんだろ?
美味しそう!いやこれは買わんだろう。
など何かしらの反応もなし。
とにかく無視。
担当スタッフも無視。
私たちはあなたたち事業の一コマでしかない。
それを目の前で体現された。
とにかく気分が悪い。
売上のパーセンテージを取るのに
売上を上げる努力に寄り添うこともしない。
福利厚生でスタッフはいくらか割引にするとかしてもいいじゃないか。
キッチンカーを斡旋する事業なんだろう?
彼らはどこか違う場所を見ている様に感じた。
物分かりのいい私は、このドライな対応は会社が大きくなればなるほど手が回らないのは分かっていた。
会社の熱意を全スタッフが灯し続けるなんて到底無理で、逆にその方が生産性にかけるだろう。
事業としては継続し、生存しなければ意味がない。いちいち負け犬の遠吠えのごとく、1駒に過ぎない私たちの声など関係ないのだ。
でも、
私たちは全く逆の動きで商売をしている。
馬鹿みたいかもしれない。
不効率かもしれない。
生産性はないかもしれない。
ひろゆきが言う頭の悪い人間なのかもしれない。
だけど、目の前の人を喜ばせたい。
その活動を本気で続けている私たちには
彼らの刹那的な対応は理解し難い。
目の前を通り過ぎる人の中に1人でも
心を通わせられたら
どんなに幸せか。
美味しいお弁当を提供するだけじゃない。
消費されるだけじゃない。
商品を売っているわけじゃない。
そこを理解している会社だと思っていた。
蓋をあけたら
トヨタの電気自動車を普及させ、大手不動産会社と仕事をする、BtoBの会社だったのだ。
エンドユーザーにむけたサービスと謳った巨大なデータラボッチ。
まっくろな顔なし。
個人と企業。
私と企業。
どちらが良い悪いはないけれど、
私にはやっぱり性に合わない四角いシステムだなと思った経験だった。
事業のスケールは違うけど
価値の創出は同じなのにな。
私が綺麗事なのかな?
お金が全てなのかな?
この壁は永遠に解決できないだろう。
もしいつか解決できた時、私が持っているのはお金なのか幸せなのか、どちらともなのか?
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